期待されるはたらき
・ビフィズス菌など有益な腸内細菌を増やす
・おなかの調子を整える
・食後の血糖値上昇を抑える

イヌリンは植物により作られる多糖類の一種で、栄養素としては食物繊維に分類されます。ゴボウ、タマネギ、ニンニクなどに含まれています。ヒトの消化酵素では分解できないため、摂取後そのまま大腸に届き、腸内細菌により利用されます。そのため、ビフィズス菌など有益な腸内細菌を増やす働きがあり、その結果、おなかの調子を整えることが知られています1, 2)。
また、腸内細菌が増えることで短鎖脂肪酸が増加し、これが消化管ホルモンglucagon like peptide-1 (GLP-1)の分泌を促進させます3)。GLP-1はインスリン分泌を促進したり、グルカゴン分泌の抑制をしたりすることで、血糖値上昇を抑えるとされています4)。

【参考文献】

1) Kleessen B et al.. Br J Nutr. 2007 98:540-549.
2) Kolida S et al.. Eur J Clin Nutr. 2007 61:1189-1195
3) Tolhurst G, et al., Short-chain fatty acids stimulate glucagon-like peptide-1 secretion via the G-protein-coupled receptor FFAR2. Diabetes, 61, 364-371 (2012)
4) 俵 孝徳,清野 裕,インクレチンの歴史と概念,月刊糖尿病別冊インクレチン. 10-19 (2009)